APIとは?初心者向けに仕組みと活用方法をわかりやすく解説
APIとは?その基本をわかりやすく説明
API(エーピーアイ)は「Application Programming Interface」の略で、異なるソフトウェア間のデータや機能のやり取りを可能にする仕組みです。 例えば、スマートフォンで地図アプリを使って近くの飲食店を検索する際、アプリはGoogle MapsのAPIを利用してデータを取得しています。このように、APIはシステム同士をつなぐ“橋渡し”の役割を果たします。
具体例として、
- Google Maps API: アプリやウェブサイトに地図情報を組み込む。
- 楽天 API: 楽天市場に掲載されている商品情報などを取得したりする。 などがあります。
APIの種類と活用シーン
APIにはさまざまな種類があり、利用目的によって適切なものを選ぶ必要があります。
オープンAPIとプライベートAPI
- オープンAPI: 外部開発者に公開され、誰でも利用可能。例: PayPay API
- プライベートAPI: 社内での利用に限定され、セキュリティや制限が厳しい。例: 社内業務システム用API
主要な分類
- Web API: インターネットを介して利用。例: REST API
- クラウドAPI: クラウドサービスとの連携用。例: AWS API Gateway。
- ローカルAPI: 同一システム内で利用。
活用シーン
- 地図情報の提供: Google Maps API。
- ソーシャルメディア連携: Meta APIでInstagramの投稿・分析。
- 決済処理: Stripe APIでのオンライン決済。※Stripeとは米国発の決済プラットフォームでクレジットカードなどの決済を簡単に実装可能にした。
APIを使うメリット
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システムの連携と自動化 異なるシステム同士を簡単に連携し、業務を自動化できます。例: ECサイトでの在庫管理と決済連携。
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開発効率の向上 必要な機能をAPIを通じて利用することで、ゼロから開発する手間を省けます。
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コスト削減の可能性 既存のAPIを活用することで、開発時間やリソースを節約できます。
APIのよくある勘違い
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API=WebAPI APIにはWeb形式以外にも、ローカルシステム専用のAPIなどがあります。『API=Web API』という認識は誤りです。
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APIには方向がある APIには双方向性が求められる場合がありますが、片方のシステムだけが対応しているケースでは完全な連携ができないことがあります。このため、導入前に十分な要件定義が重要です。(補足あり)
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APIは無料・制限はない 無料のものも多くありますが、商用利用する場合は有料であることや、多くのデータ通信が発生する場合は有料といったことがあります。 APIの提供元の情報を確認してから、使うようにしてください。 特に、Google Maps APIは商用利用は不可で、商用利用する場合は有料プランに加入する必要があるので、注意が必要です。
2の補足
例えば、2つのシステム間で連携させたいと考えていて、片方のシステムがWebAPIが備わっているシステムであれば、簡単に連携可能と考えがちです。 しかし、片方だけ対応していても、双方向にデータのやり取りがWebAPIを通じてできるとは限りません。 また、2つのシステムがともにWebAPIがあったとしても、読み取りだけ、取り組みだけなどのケースがあります。 よくあるのは、SaaSと自社の基幹システムの連携を考えるとき、SaaS側がWebAPIで連携できることを謳っていても、基幹システム側のデータ取得の問題が発生します。 そのため、結局連携できないのような問題が発生するので、よく要件定義をして、SaaS導入時には、フィットギャップ分析等を行う必要があります。
API利用の未来: DX時代のインフラとしてのAPI
APIは今後さらに重要性を増すと考えられています。その理由は、デジタルトランスフォーメーション(DX)が加速する中で、APIが企業間やシステム間の連携において中心的な役割を果たすからです。
APIエコノミーの可能性
APIが「商品」として取引される「APIエコノミー」が拡大しています。たとえば、GoogleやAWSが提供するAPIは、単なる技術ツールを超えたビジネスモデルの一部です。
マイクロサービスアーキテクチャとAPI
近年のシステム設計では、マイクロサービスアーキテクチャが主流となりつつあります。このアーキテクチャでは、小さな独立したサービスがAPIを通じて相互連携します。これにより、柔軟でスケーラブルなシステム構築が可能です。
APIを活用するために必要なスキル
- 基本的なプログラミング知識: APIの利用にはHTTPリクエストやJSONの扱いが必須。
- APIドキュメントの読み方: 提供されるマニュアルを理解し、正確に利用するスキルが求められます。
- ツールの活用: PostmanやcURLを使ったテストやデバッグが便利です。
まとめ: APIを使いこなすためのポイント
APIは、現代のシステム開発やビジネスで欠かせないツールです。基本的な仕組みを理解し、適切なAPIを選び活用することで、業務効率化やコスト削減が可能になります。定期的な技術情報のキャッチアップも重要です。
DX時代ではデータ連携がポイントになり、API活用が必須になっています。「APIがあるならできる」ではなく、改めて要件定義をしっかり行い、設計にすることで、ユースケースに応じたデータ活用が可能になります。
この記事の著者
R_IT戦略
ITストラテジストとして、企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)推進を支援しています。政府系金融機関の勘定系システム再構築プロジェクトでは、複数チームの連携を強化し、設計と運用を主導。事業会社のマルチベンダー体制によるシステム開発では、プロジェクトマネージャーとして現場の課題解決を支援しました。
また、RPAやSaaSを活用した業務変革にも取り組み、業務プロセスの効率化や部門間の連携強化を実現。
ITストラテジスト協会(JISTA)正会員として活動しています。このサイトやXで、DXやIT戦略に関する情報を発信中です。
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