クラウドサーバとは?非エンジニア向けにわかりやすく解説
クラウドサーバとは?概要と仕組みをわかりやすく解説
クラウドサーバとは、インターネットを通じて利用できる貸し出し型のコンピュータリソースのことです。
今まで実機として設置していたサーバ(オンプレという)とは異なり、クラウドサーバでは実際のハードウェアを意識する必要がなく、必要なリソースを必要な分だけオンデマンドで利用できます。
NIST(アメリカ国立標準技術研究所)の定義によると『オンデマンドで利用可能なリソースを提供する柔軟なサービス』です。本記事では、このクラウドの特徴をわかりやすく説明します。
クラウドサーバの特徴
- 必要に応じてサーバのスペックのスケールアップ・ダウンが可能
- インターネットを介してどこからでもアクセスできる
- 従量課金モデルで、初期費用が抑えられる
クラウドサーバのメリット
クラウドサーバを利用することで、以下のようなメリットがあります。
1. コストの削減
従来のサーバでは、初期投資やメンテナンス費用がかかりますが、クラウドサーバでは必要な分だけ利用するため、無駄なコストを削減できます。
物理サーバを購入する場合に比べてコスト削減の可能性があります。ただし、為替レートや利用状況によってコストが変動する点には注意が必要です。
近年、急激な円安で海外のクラウドを利用すると、割高になるケースもあるため、クラウド=安いわけではありません。しかし、次の柔軟性と可用性を考えると自前で設定するサーバではできないことも多くあります。
2. 柔軟性とスケーラビリティ
アクセスが急増した場合でも、リソースを迅速に増やして対応可能です。逆に、利用が減った場合はリソースを減らしてコストを抑えることができます。
また、クラウドサービスにより、使うときだけにコストが発生するようなサービスもあります。利用料を安くするには、システム設計が重要になります。
3. 高い可用性と災害対策
クラウドプロバイダーが複数のデータセンターで運用しているため、地震や火災などの災害が発生してもデータが失われるリスクを軽減できます。
クラウドサーバを利用する際の注意点
-
利用コスト: 従量課金モデルのため、長時間使用する場合や非効率な設計の場合、コストがかさむことがあります。
-
依存リスク: クラウドプロバイダーに大きく依存するため、障害やサービス停止時の影響を受ける可能性があります。
よく別のソーシャルゲームが一斉に落ちたり、全然関係ないサービスが同時多発的に落ちることがあります。
これは、ソーシャルゲームであれば、AWSのある地域のサーバが同時に障害を発生していることが原因です。
また、2024年11月15日に、銀行のポータルサイトや自治体の情報サイトが多発的に障害が発生しました。 これは、セールスフォースの更新障害により、復旧まで利用できないということがありました。
もちろん、システム障害はつきものです。自前であれ、クラウドでも、障害がある前提でシステム運用を考える必要があるのです。
自前で管理するよりクラウドのほうが障害耐性が強いことは確かです
オンプレミスサーバとの違い
クラウドサーバとオンプレミスサーバ(自社運用の物理サーバ)の違いを簡単に比較します。
項目 | オンプレミスサーバ | クラウドサーバ |
---|---|---|
初期費用 | 高い(設備投資が必要) | 低い(利用量に応じた課金) |
運用管理 | 自社で管理が必要 | プロバイダーが管理をサポート |
柔軟性 | 拡張が困難 | スケーラブルで柔軟性が高い |
災害対策 | 自社の対策が必要 | プロバイダーによるバックアップ |
レンタルサーバとの違い
今まで「レンタルサーバ」を利用してきて、自社にサーバはないけど、クラウドと違うの?といった疑問がよくあります。レンタルサーバーとの違いは次のとおりです。
主な違い
- レンタルサーバ: 固定プランでリソースが制限される。低コストで小規模サイトに向いている。
- クラウドサーバ: 必要に応じてリソースを調整可能。中〜大規模サイトや可用性が重要なサービスに最適。
比喩で説明
「レンタルサーバは、決められた大きさの部屋を借りる賃貸物件のようなもの。一方、クラウドサーバは部屋のサイズを自由に変えられるシェアオフィスのようなものです。」
有名なクラウドサーバサービス
初心者でも名前を聞いたことがあるクラウドサーバサービスをいくつか紹介します。
グローバルな有名サービス
- AWS(Amazon Web Services): 世界中で利用される最大手。クラウドといったらAWSを指す事が多いです。幅広い機能を提供していますが、その分設計スキルが必要にもなっています。
- Google Cloud Platform(GCP): AIやデータ分析に強み。
- Microsoft Azure: Microsoft製品との連携がスムーズ。Windowsの管理サーバである、ADサーバやWSUSサーバなどもクラウド化可能です。
日本国内で人気のサービス
- さくらのクラウド: さくらインターネット社が国内で運営しているため、安心感があります。政府が利用するガバメントクラウドにも指定されるなど、
SaaSとは何が違うのか?初心者向け解説
SaaSもクラウドサービスの一部です。人によって「クラウド」自体が指す範囲が異なりますが、下記3種類を知っておくと良いでしょう。
-
IaaS(Infrastructure as a Service): サーバ、ストレージ、ネットワークなどの基盤インフラを提供するモデル。 例: AWS EC2、Google Compute Engine。
-
PaaS(Platform as a Service): アプリケーション開発に必要なプラットフォーム(OS、開発ツールなど)を提供。 例: Heroku、Google App Engine
-
SaaS(Software as a Service): 完成されたソフトウェアをインターネット経由で提供。 例: Google Workspace(旧G Suite)、Slack、kintone、Microscope365、Salesforce
例えば、Google Workspace(旧G Suite)はSaaSの一例で、クラウドサーバ上で提供されるアプリケーションサービスを指します。一方、クラウドサーバ自体はこのようなサービスを動かすための土台(インフラ)を提供します。
クラウドサーバが選ばれる理由
DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進やリモートワークの普及により、クラウドサーバは現代のビジネスに欠かせないインフラとなっています。初期費用を抑えつつ、柔軟で効率的な運用が可能なため、多くの企業で導入が進んでいます。
まとめ
クラウドサーバは、コスト削減や柔軟性、高い可用性を実現するための有力な選択肢の一つです。オンプレミスやレンタルサーバとの違いを理解し、自分の目的に合ったサーバを選ぶことで、業務やサービスをスムーズに進めることができます。
詳細な定義を補足として盛り込む場合は、記事内に「クラウドの技術的な定義」というセクションを追加すると良いでしょう。以下のように書き足してみてください。
クラウドの技術的な定義(補足情報)
クラウドサーバの正確な理解のために、技術的な定義も押さえておきましょう。以下は、NIST(アメリカ国立標準技術研究所)が定めたクラウドコンピューティングの定義に基づいた内容です。
クラウドコンピューティングの5つの特性
-
オンデマンドセルフサービス ユーザーが必要なリソース(サーバ、ストレージなど)を、プロバイダーに依頼せずに即座に利用できる仕組み。
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広範なネットワークアクセス インターネットを通じて、どこからでもアクセス可能。デバイス(PC、スマホ、タブレット)を問わない。
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リソースプーリング 複数のユーザーが共有するリソース(サーバやストレージ)を動的に割り当てることで、効率的な利用を実現。
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迅速なスケーラビリティ リソースを迅速にスケールアップ(増加)またはスケールダウン(縮小)できる柔軟性。
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測定されたサービス リソース使用量がモニタリングされ、課金や最適化のためのデータが提供される。
この記事の著者
R_IT戦略
ITストラテジストとして、企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)推進を支援しています。政府系金融機関の勘定系システム再構築プロジェクトでは、複数チームの連携を強化し、設計と運用を主導。事業会社のマルチベンダー体制によるシステム開発では、プロジェクトマネージャーとして現場の課題解決を支援しました。
また、RPAやSaaSを活用した業務変革にも取り組み、業務プロセスの効率化や部門間の連携強化を実現。
ITストラテジスト協会(JISTA)正会員として活動しています。このサイトやXで、DXやIT戦略に関する情報を発信中です。
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